大統領の理髪師

1960~1970年代。
クーデターで政権を掌握した朴(パク)大統領による軍事独裁政権下時代。
大統領官邸がある孝子洞の町。この町の住民は盲目的に大統領を支持している。
床屋を営むソン・ハンモもそんなひとり。
時には現職大統領の不正選挙に協力することも厭わないが、特別政治的な知識もなく、
本当はたいして興味もない。
みんながやっているから、それが正しいと思い込んでいる。
そんなソン・ハンモがひょんなことから大統領の理髪を引き受けることに。

主人公ハンモは小市民そのもの。
生まれた子供の名前に占い師が2つの候補を出す。
ひとつは「権力を得るが寿命は長くない。」「短命?」「そうは言っとらん!」
もうひとつは「財産に縁はないが平穏にくらせる。」「貧乏?」「そうは言っとらん!」
「平穏に暮らせて金持ちになれる名前は?」「ない!
結局平穏にくらせる『ナガン』という名前にする。

大統領の理髪師になってからはただただ粗相がないようにとビクついている。
そんな彼が政治の愚かさに気づく時が来る。

最後は大統領が暗殺され、次の全(チョン)大統領の理髪を命ぜられる。
一度は断るが断りきれず官邸の理髪室で全大統領と対面する。
見事な禿頭!ハンモは櫛をあてかけて「閣下、髪が伸びたら来ます」という。
10歳の子供をスパイ容疑で拘束された時にも抗議ひとつできなかったハンモの
ささやかな抵抗。
当然彼は袋叩きにあい官邸から放り出されるが、傷だらけの顔にはすがすがしい笑顔。
ええ俳優さんです。

この映画、理不尽な政治やいいかげんで無知な市民の本当は深刻な問題を面白く描いている。
芯のストーリーとは関係ないが、ハンモの理髪店で働いている冬ソナのヨングクが、
はじめはアメリカに憧れてギターを弾きながら踊る明るい青年だったのに
ベトナム戦争に行ってから無口な青年になって帰還したシーンが印象的。
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byちかぽん by milla5 | 2005-04-15 22:23 | '05 cinema

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